本日の本(渚にて)

渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)

渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)

 大昔に先に映画を見た。まだ、中学生ぐらいかな。放射能が迫ってくる中、レースに地道を上げるおじさんと、ラストシーンは記憶に残っている。
 核戦争の恐怖はこの映画で植えつけられたものだった。
 そのあとで当時の創元推理文庫から出ていた文庫本を買って読んだ。
 淡々と進んでゆくお話。ど派手に盛り上がることもなく。あの当時の自分にはちょいと退屈だった。

 今回、本屋で見つけ表紙が変わったのみならず新訳である。正直、旧訳の味わいを覚えていないので訳の比較することはできない。言って見れば初読とあまり変わらない味わいだ。いろんな意味で名作だなと。

 着々と迫りくる放射能に対して淡々と日々を送る人々。偶に楽観的な説が出てくるがそれも現実の前に押しつぶされて行く。現実を見つめるもの。目をそらすもの。そして最期の時を迎える。

 古い時代の考えで書かれた物語なので現在の言説からすればちょっと違う部分もある。けど、そんなのを抜きにして楽しめる物語だと思う。