ベルカ、吠えないのか?/古川日出男

読了。

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

少し前に紹介されている記事を読んで、気になっていたんだけどそのうち忘れていた。
先日、出張の際に文庫で出ているのを見つけ、帰りの荷物として東京の三省堂で買った。
読み出したら一気に読んでしまった。
太平洋戦争時にアリューシャン列島のキスカ島で孤立した日本軍の守備隊が撤退時に残した犬の子孫たちの物語にその後の米ソの冷戦構造が絡んでくる物語。
キスカ島からの撤収といえば、木村昌福少将率いる第一水雷戦隊が悪天候に乗じて損害無しに成し遂げた作戦ということで、アメリカ軍は撤収に気付かずにキスカ島に猛攻撃を加え上陸して日本兵は誰もいなかったということに気付いたというエピソードがある。このときの撤収作戦は戦後映画にもなったと思う。
物語はその撤収後に上陸したアメリカ軍が島に残された犬たちを見つけ本国に連れ帰ったことから始まる。
おのおのの犬たちとその子孫たちの数奇な運命を描く。
未読の方は読んで損は無いと思う。