いろいろ

 前にある病院の閉鎖病棟に入る機会があった。
 建て替えのための閉鎖でいずれは取り壊されるらしい。
 まだ電気などは通っているので非常口を示す灯りなどは点いているがベットは当然としていろんな什器は取り外されてがらんとしている。そのなかで電話の線が垂れ下がっていたりして廃墟感を醸し出していた。また、捨てられる予定であろうソファーやら何やらが置き去りにされていてそれがまた白っぽく埃をかぶったみたいでいかにもボロっちく感じられる。あの醸し出される雰囲気は何だろう。
 フロアごとに専門が決まっていたみたい。どのフロアも漂ってくる物凄い雰囲気。ものの5分もいると頭が重く吐き気すらしてくる。特に背中の真ん中の圧迫感が著しい。
 こりゃ有象無象がおるな。
 それ以前、別な病棟が取り壊されることになっていて、用事があったので入った。
 ここも凄かった。と言うか今回よりも凄かった。
 そのフロアは入院病棟ではなかったが。大きめの窓から入る白けた太陽の光も状況の好転には何の役にも立たず、雑然と放置されている機器の間から立ち上る雰囲気は鬼気迫るものがあった。
 ものの5分で頭痛、吐き気をこえて目が回り始めた。これはやばいと。動けんようになる。一緒に入った同僚を促して逃げるように病棟を出た。

 病院であるということでそう言うことを感じてしまったのかもしれないが、じっとりと湿ったからみついてくる重い雰囲気は何かの存在を感じさせずにはいられなかった。