反逆者の月2−帝国の遺産−/デイヴィット・ウェーバー

読了

反逆者の月2―帝国の遺産― (ハヤカワ文庫SF)

反逆者の月2―帝国の遺産― (ハヤカワ文庫SF)

前の巻で太古からの侵略者による地球侵略が2年後に迫っていると言うところで終わっていたが、今回はその続きの物語で、侵略を撃退するまでの話。ネタバレだけど、これ以外の話の展開は考えにくい。
読んでてどうしてもマイクル・マッコーラムの「アンタレスの夜明け」「アンタレス突破」とオーバラップした。技術的背景としては「反逆者の月」の方がはるかに先行しているんだけど、例えば侵略者の身体的特徴、あるいは侵略を受けた側が専制君主国家に変貌したということ、その変化の理由、侵略者が何ゆえ他の種族に対して狂的に好戦的なのかその理由などが酷似しているような印象を受ける。
どちらが面白いかといえば、設定として劣っている技術的な設定で登場人物たちが遥かに大きな制約の元で動いている「アンタレス」の方がわくわく感があって良い。
設定として超新星になった後のアンタレスネビュラの中に入り出来立てのパルサーに曝されそうになるスリルがあったり、反物質重力子などの強烈な大道具を利用する平気が使えない分、核兵器や運動エネルギー兵器、レーザなどしか使えない不自由さがうまく使われていたり、サンダーが専制君主制に移行している必然が旨く説明されているなど比べるとどうしても「アンタレス」のほうに軍配が上がる。
デイヴィット・ウェーバーはオナー・ハリントンシリーズの作者でもあるけど、ハリントンのほうは星間国家間の政治に対する表現や、内政の合従連衡の表現、艦隊決戦の苛烈さの表現の見事さなど、かなりの巻数を重ねているが読んでいて飽きさせない。
反逆者の月2の解説によると、次の巻も用意されているみたいだが、次の巻では私の不満を打ち破ってくれるような展開を望む。

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