SELENE2

asahi.comに2010年代前半に月着陸とあった。
本気ならばまことに嬉しいことだと思う。SELENEの成功(とは言ってもクリティカルミッションが終了したばかりで本格的な運用はこれからだが)で世間的にかなり認知されている現状で計画をぶち上げて一気に予算獲得と言うのは正しいかもしれない。
最後は人が行かないとね。

時砂の王 小川一水

読了。若干、ネタバレ注意。

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

さほど厚くなかったから読み終わるのも早かった。
本当はこの本はもう暫らく積読く予定だったんだけど、今朝間違えて今読んでる本をバックに入れ忘れて、バックの中で読んでない本はこれしかない状態だったので読む順番を繰り上げた。
小川一水さんの作品は「第六大陸」の頃から面白いなと思っていた。
ある目的があってプロジェクトを進めてゆく感じが良かった。自分がプロジェクトを進めて行くような仕事をしているせいもあるし、宇宙物が好きだし、やるのが日本人だと言うのも良かった。
面白くて、だからこの人の本は目につくかぎり読んだ。まあ、大御所さんたちほどたくさん出ていないのでその点は良いんだ。
今回は小川さん初めての時間もの。時間自体のとらえ方は面白かった。
豊田有恒さんの「退魔戦記」辺りでは二本の未来が存在してその両方からの干渉を受けていたが、こちらでは未来は予測不能に変化するものらしい。未来を変化させないために未来から干渉するのも良いが、変化前提で干渉し、なぜ干渉するのかと言われれば人類を守るため、と言っているのが面白い。

物語自体は、基本的には目標の達成に向けての予定調和が見えちまっている。
ある意味、安心しきって読めちまう。あんまり酷い事にはならないよね。
あとね、これは小川さんの人間が良いせいか登場人物があまりにも善人というか。
人間の情念みたいなものがほの見えるシーンがあるがあれも正直予想の範囲内。あれは例えばやっちまった後に関係者がどんな台詞を吐いてどうなって行くかが醍醐味なんだけどなぁ。
なんか、人間の感情というか、内面に誰しもが飼っている鬼の出現を作者が怖れていい加減なところでその登場人物にご退場いただいている感じがする。
そう言う意味では彼の作品では「復活の地」のほうが私の好みにまだ近い。
まぁ、好みの問題だなぁ。

ちなみに「天涯の砦」は読んでいない。これは私の高所と閉所に対する恐怖感が未だに積読状態にしている。

期待してるんよ、私。

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